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長期優良住宅の“メリット・デメリット”

スタッフブログ 2019/09/08

『長期優良住宅』――この言葉は昨今お耳にする事が増えてきたと思われます。

簡潔に言うと、「長持ちして、安心なお家」という、国土交通省のお墨付きを貰い、厳しい基準をクリアしました。と、認められたお家です。

もちろんこの名前は飾りではありません。実際に、構造躯体は100年使用できるし、大きな地震が来ても壊れない、将来の間取り変更もしやすい等、さまざまな事が保証されています。さらには節税のメリットもあるのです。

メリットもあるのなら当然デメリットもあるよね?そう思われる方も多いでしょう。

今回は、そんな『長期優良住宅』のメリットとデメリットのお話です。

 


【そもそも長期優良住宅って具体的にはどういうこと?】

長期優良住宅に関する法律が施行されたのは2009年。
国土交通省から「君の家、間違いなく長持ちする住まいだよ」と認められた建物の事を指します。

詳しい内容は後述しますが、なかには「これって建物として当たり前だよね?」というモノもありますが、こんなに決まりごとがあるなんて正直びっくりですよね。

ではさっそく〈長期優良住宅の認定基準〉についてのご説明です。基準は以下のとおり。

 

<1. 劣化対策>

構造躯体の耐久性は100年程と言われています。
劣化しやすい内装や外壁などは、もちろん途中でリフォームすることが前提です。
たとえば鉄筋コンクリートなら、セメントを濃くし、コンクリートのかぶりを厚くします。
木造だと、床下や屋根裏に点検口を設け、床下の高さを330mm以上にします。

 

<2. 耐震性>

滅多にないような大地震があっても、基本的には損傷が少ないこと。
ちょっとくらいはクラック(ヒビ)が入るかもしれませんが、構造には影響なく、補修すれば暮らせるような、強い住まいです。建築基準法で想定されている1.25倍の地震が起こっても、壊れることはありません。

 

<3. メンテナンスのしやすさ>

構造躯体は長持ちしますが、内装や設備は10~20年ほどで劣化します。
この時、”簡単にメンテナンスができるか”というのも重要な基準になっています。

10年、20年なんてまだまだ先のような気がしますが、確実に起こること。
どれほど将来を想定して設計されているか、ということも、住まいの重要なポイントです。

 

<4. リフォームのしやすさ>

「子供が独立した」「同居することになった」等、どのようなご家庭でも、必ずライフスタイルが変わります。
そこで重要になるのが、リフォームのしやすさです。
たとえば、マンションなら将来の間取り変更にそなえ、配管・配線に必要な天井高を確保していることが重視されます。

 

<5. バリアフリー対策>

廊下や出入り口の幅を、車椅子が通りやすいように広めに設けるなど、将来のバリアフリーリフォームに対応できるよう、現時点で計画しておくことも大切です。

 

<6. 省エネルギー>

断熱性や気密性など、省エネルギー対策がなされているか。
暮らし心地や家計に直結することなので、こちらも長期優良住宅じゃなくても、ぜひ取り入れてほしいところです。
エアコンや暖房器具類をつけなくても夏は涼しく、冬は暖かい環境があれば電気代が浮くのでお財布にも優しくなります。

 

<7. 居住環境>

条例によって、過ごしやすい街づくりがなされているかどうかも大切です。
いくら住まいが素敵だからと言っても、家の前をトラックが通っていたり、街灯の少ない帰り道だったりしたら、暮らし心地はイマイチと感じられるでしょう。緑や花に囲まれたような、美しい街並みであってほしいですね。

 

<8. 居戸面積>

2人暮らしの世帯なら、ある程度の広さが必要です。そこで、マンションは55平米以上、一戸建ては75平米以上という基準がもうけられています。地域の状況によって引き上げられたり、引き下げたりもするそうです。

 

<9. 維持保全計画>

屋上などの防水、給排水などの点検時期と補修内容を、あらかじめ計画しておけなければなりません。
少なくとも10年ごとに点検を行います。
「そろそろどうしようか」と迷っているうちに、面倒になるのがメンテナンス。
しかし、こうして時期が決められていたら、イヤでもやらざるを得ません。

 


【長期優良住宅のメリットとは?】

長期優良住宅のメリットは、先述したように<安心して暮らせる>という点に加え、
<税金が優遇される>という点です。

長期優良住宅を新築したり、購入することで、いろいろな優遇処置があるようです。
上手く使えば、かなりのメリットに。

 

<1. 所得税の住宅ローン控除>

借り入れした住宅ローンの、年末の残高の1%が所得税から控除されます。一般の住宅だと控除対象限度額は4000万円ですが、長期優良住宅なら5000万円(2014年以降に住み始めた場合)。10年間適用されるので、最大100万円ほどの差が生まれます。

 

<2. 所得税の投資型減税>

長期優良住宅にかかった費用(上限500万円)の10%が、年末の所得税額から控除されます。

 

<3. 登録免許税の軽減>

不動産を取得すると、登記の申請が必要になります。長期優良住宅だと、登録免許税が軽減されます。

 

<4. 不動産取得税の軽減>

不動産を取得したときや、新築・増築したときに、不動産取得税がかかります。

新築住宅だと、不動産取得税
=(固定資産税評価額-1,200万円)× 3%となりますが、

長期優良住宅だと軽減率が大きく、
=(固定資産税評価額-1,300万円 )× 3%となります。

 

<5. 固定資産税の軽減>

新築を建てたり、購入した場合は、一定期間、固定資産税が2分の1に軽減されます。しかし長期優良住宅であれば、マンションなら5年→7年、一戸建てなら3年→5年まで、軽減期間が延長されます。

 

ただし、購入した時期や暮らし始めた時期により、内容が変わってきます。かならず、国税庁のHPで確認してみましょう。このほか、フラット35Sやフラット50といった、好条件の住宅ローンでの借り入れができます。

 


【 長期優良住宅のデメリットとは? 】

 

長期優良住宅のデメリットは、一言でいうと、時間とコストがかかること。

 

<1. 建てるのに時間がかかる>

新築を建てるとき、一般の住宅を建てるよりも数週間~1ヶ月、場合によってはそれ以上の期間がかかります。ただし、長期優良住宅のノウハウや経験があるハウスメーカーや工務店、設計事務所なら、よりスムーズに進めてくれるはずです。最初に実績があるかどうかを確認しておくと、間違いないでしょう。

 

<2. 申請するのにコストがかかる>

長期優良住宅を申請するのにコストがかかります。行政によって少し価格が異なりますが、一戸建てのお住まいをご自身で申請すると、だいたい5~6万円と見ておくとよいでしょう。ハウスメーカー・工務店・設計事務所などを通して申請すると、数十万になることもあります。「そのお金があれば、もう少しいいソファが買えるのに!」なんて思うと、ちょっと悩みますよね。

 

<3. 建ててからのコストもかかる>

長期優良住宅の認定基準に、<維持保全計画>というものがありましたね。最低でも10年ごとに点検しなければいけない=その度にコストがかかります。いくらかかるかは建物の状態によりますが、何もしない家よりはランニングコストが高くなることは間違いありません。

 

<4. 建てるのにコストがかかる>

長期優良住宅の基準に合わせようとすると、当然ですがそれなりのコストがかります。
とは言え、よくよく見てみると

・<点検口を付ける>
・<耐震性を高める>
・<断熱性アップ>

などは、今時あたり前のこと。

しっかりとしたハウスメーカーや工務店なら「前からずっとやってますよ」と言われてしまうでしょう。
こうした高水準の住まいなら、長期優良住宅にしたところで建築コストがびっくりするほど上がることはありません。

 

 


【 まとめ 】

長期優良住宅のように、しっかりとした住まいであれば、中古で買っても安心ですね。

長期優良住宅の認定制度がスタートしてから9年、認定物件数は増加しています。
国土交通省の発表によると、長期優良住宅の一戸建ては789,863戸、マンションは18,720戸となっています。
(平成29年3月時点)。

しかし、中古物件のなかで長期優良住宅を見つけるのは、むずかしいのが実状。「いいな」と思った中古物件が、たまたま長期優良住宅の一戸建てやマンションだったら「ラッキー」というくらい。まだまだ私たちのほうから選べる状況ではありません。

長期優良住宅のように健全な建物が増えてくると、中古住宅を安心して買えるようになり、さらに日本が目指すストック型社会が確立されるのですが、それにはもう少し時間がかかりそうです。

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