古くなってきた持ち家にお住まいの方から寄せられる悩みで多いのが
「建て替えるかリフォームするか、迷っている」という事です。
建て替えとリフォーム、どちらを選ぶべきなのでしょうか?
定義、メリット・デメリットを順に見ていきましょう。
【定義】
●建て替え:「建て直す」
既存の建物を壊して、同じ場所に新しい家を建てる事を指します。
●リフォーム:「元に戻す為に部分的リフォーム」、「生まれ変わらせる大規模リフォーム」
<部分的リフォーム>は、時間を経て汚れて古びた内装を新築の状態に近づけるための改修です。
例えば、汚れた壁紙を貼り替える、古びたキッチンを新しいものに取り換える等の改修工事で、古くなった住まいを新築当時の状態に原状回復する為に行われます。
<大規模リフォーム>は、間取りから内装・配管などすべてをゼロから考え直し、これからの暮らしに合わせてつくり変える事で、性能や機能を既存の状態よりも向上させたり、新しい価値を生み出したりする改修工事。
例えば、耐久性耐震性を高めるために補修を行ったり、家族が増えたので、仕切りの壁を失くして、広々としたリビング・ダイニング・キッチンにしたりすることなどが挙げられます。
【メリット・デメリット】
■【建て替え】
メリット:
①自由な設計で理想の間取りに
既存の住宅をすべて解体するので、自由に設計でき、間取りに対する不満をほぼ解決できる。
②想定外の費用負担が比較的少ない
リフォームの規模にもよりますが、解体して見ないと状況が分からない部分や、解体中に発生する問題もあります。
1から造っていく建て替えの方が、想定外の費用負担のリスクは少ないでしょう。
③安心の耐震性と断熱性
古い建物をリフォームする場合、昔の基準で建てられているので、建物の性能が低い事がほとんどです。
1から建てていく建替の方が安心感があるのではないでしょうか。
デメリット:
①仮住まい
建物を解体する為、完成するまでのしばらくは仮住まいが必要です。
引っ越し、仮住まい等の費用もかかります。
②工期が長い
通常の新築工事に加え、解体工事があります。解体期間も加わります。
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■【リフォーム】
メリット:
①思い入れのある住まいを生かす事が出来る
②コスト面がお得
予算に合わせて、気になる部分だけリフォームできます。
③生活しながらリフォームできる
部分的リフォームの場合、その家で生活しながら工事を行うことが出来るので、仮住まいが不要です。工期も短く、最短で1日~数週間で終わる事もあります。
デメリット:
①間取り変更に制約がある可能性
建物の構造によっては、撤去できない壁や柱があり、間取り変更に制約が生じるケースがあります。
②想定外の事態
解体して構造躯体に戻した状態から工事を始めるリフォーム。
解体するまでは気が付かなかった問題点が、解体した事で発覚する事があります。
例えば、表面からすると状態がよく見たのに、解体したら柱や配管が劣化していた、
雨漏りしていたことが発覚…という事があります。
ほかにも、当初予定していた水まわりの配置変更が、解体後の構造状況によって
難しくなる…という事が起きる事も。
プラン変更や追加の補修費用など、想定外に対する備えが必要です。
想定外の事が起これば、その補修工事で工期もさらに延びることが有ります。
③大規模リフォームの場合、工期が長い
大規模リフォームは解体工事があるため工期に時間がかかります。
既存の建物を一部残しながら解体していくため、全部壊すよりも時間がかかるのです。
④仮住まい
大規模リフォームの場合、仮住まいが必要です。引っ越し、仮住まい等の費用もかかります。
《 判断基準 》
既存の住宅を取り壊して建て替えをするか、リフォームをするのかは、住まいの状態や今後のライフスタイルを考慮して判断する事をおすすめします。
新築時の仕様や施工方法にもよりますが、定期的なメンテナンスをしていれば、30年、40年、50年以上でも同じ家に住み続ける事が可能です。
とはいえ、築何年だからまだリフォームでOK、何年経ったから建て替えが必要、といったような明確な判断基準はありません。子供が独立したので、今後も長くこの家に住むと言う確証が無い、将来的に二世帯の家族になる可能性がある等の今後のライフスタイルも想像してみてください。
構造体の老朽化が進んでいたり、大きな間取変更を希望したりしていると新築と変わらないくらいの修繕費用がかかります。その場合は建て替えを検討されても良いかもしれません。
思い入れがあり、住み慣れている等の理由で今の住まいを壊したくない場合や、出来るだけ低額で抑えたい場合はリフォームを検討されても良いでしょう。
建て替えとリフォームで悩まれた場合は、一度住まいの状態の確認を依頼されてはいかがでしょうか?